リスクを理解しておく

移転価格税制の概要について

 移転価格税制とは、資本や人的な支配が無い企業(独立企業という)の間で取引を行う価格とは違う価格で、資本や人的な支配がある外国会社(関連者という)と、取引を実施した場合に、その取引が行われた価格を独立企業との価格で取引されたものと見なし、課税所得の金額を算定する事です。  簡単に言うと、国内の法人が海外にある関連企業との取引を通じて所得を海外に移転する事を防止するために設けられた税制で、この運用に当たっては法人が租税を回避する意図の有無を問うものではありません。  日本には所得申告後の適用リスクを防止するために、事前確認の制度はあるが、納税企業と税務署との行政指導的なもので法的な拘束力を生じないため、事後で移転価格税制の対象として処理されることがある。  

グローバル企業の二重課税リスク

 日本では、1986年に移転価格税制が導入されましたが、これは世界的にも早い導入で、日本企業が早期にグローバル化し、海外にたくさんの関連会社を設立して取引を行ってきたからだと考えられます。  移転価格税制は、法人税がとても低い国(シンガポールなど)に子会社を設置し、その子会社を経由して販売を行うことで、自国での売上利益を低くする目的が多いため、取締りの強化が世界的に行われています。  移転価格税制の問題点として、移転価格税制の対象となった場合、企業において日本と対象国での二重課税が発生する。対象国が日本との租税条約を締結していれば当局間での相互協議が実施され、二重課税は回避されます。  しかし、租税条約を締結していない国であった場合には、国内法に基づき異議申し立てなどを行うしかなく、全面勝訴以外では二重課税されてしまう可能性があります。租税条約を結んでいない国として、アルゼンチンや香港、台湾などがあります。